システム開発をする場合、作りたいサービスによって向いている手法が異なります。システム開発の手法を理解すれば、メリットやデメリットを比較し最適な手法を選べ、システム開発がスムーズに進むはずです。
本記事では、システム開発の手法やメリット、デメリット、さらに手法ごとに向いているサービスを紹介します。
本記事を参考に、規模や目的に合ったシステム開発の手法を選びましょう。
また、弊社では新たな開発手法として、システム開発より安く、早く、ハイクオリティな開発ができる「ノーコード開発」も推奨しております。記事後半にて「ノーコード開発言語」についてもご紹介しておりますので、ぜひ参照ください。
システム開発の目的、手法とは
システム開発とは、事業効率化のための仕組みづくりです。
システム開発の目的は、業務効率化やビジネスの円滑化にあり、システムを開発することがゴールではありません。システムはビジネスをする中で起こりうる問題を解決するための手段です。そのためシステム開発を行う際は、目標や課題を明確にしておく必要があります。
例えば、従業員の勤怠の情報を管理するという課題には、勤怠管理システムの開発が必要です。通信販売を促進するという目標があれば、通信販売ができる環境を作るECサイトが必要でしょう。
つまり、業務の効率化に役立つ内容であれば、勤怠管理システムやECサイト、アプリケーションなど、さまざまなツールがシステム開発の対象になります。
主に利用されるシステム開発の手法は5種類
システム開発は作りたいサービスやプロジェクトの規模によって向いている手法が異なります。ここでは、主に利用されるシステム開発の手法を5種類紹介します。
・ウォーターフォール型開発
・アジャイル型開発
・プロトタイピング型開発
・スパイラル型開発
・DevOps
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日本で長く利用されている|ウォーターフォール型開発
ウォーターフォール(Water Fall)は英語で滝を表します。ウォーターフォール型開発は、滝の水が上から下に流れるように作業工程を順番どおりに進める開発手法です。
ウォーターフォール型開発の歴史は長く、1968年に西ドイツのガルミッシュで開催されたNATO後援の国際会議が始まりいわれています。
システム開発は、大きく分けて下記の5つの工程があります。
・要件定義
・設計
・開発
・テスト
・リリース
ウォーターフォール型開発は、要件定義からリリースまでの工程を順番どおり進められる点が特徴。要件定義が100%完了してから次の設計に入り、その後も作業が完全に終了してから次へ進みます。作業の進捗が分かりやすく、順序よく進むことを想定した開発手法です。
ウォーターフォール型開発のメリット、デメリット
ウォーターフォール型開発のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
計画通りに開発が進みやすい
デメリット
修正の規模が抑えられる
納期遅延が起こりやすい
仕様変更に対応できない
ウォーターフォール型開発は、要件定義や設計に時間をかけます。細かい工程やスケジュールを決めて開発に進むため、計画通りに開発を進められるというメリットが。工程ごとのミスや不具合がないか確認してから次に進むため、修正の規模が抑えられる点も魅力です。
一方、修正や遅延が起これば大幅な納期遅延や追加費用がかかる可能性もあります。開発工程を戻せないため、開発中に仕様変更の依頼には対応できません。システムの詳細が確定していないプロジェクトには向いていないでしょう。
ウォーターフォール型開発は「変更の少ないプロジェクト」に向いている
ウォーターフォール型開発は、仕様変更の起こりにくいシステム開発に向いています。例として、企業内で利用される経理システムや銀行ATMなどがあります。これらは品質を重視するため、各項目で品質を確認しながら開発が進められるウォーターフォール型開発との相性が良いでしょう。
素早くシステム構築ができる|アジャイル型開発
アジャイル(ajile)とは英語で「素早い、機敏な」という意味があり、アジャイル型開発はその意味のとおり、システムを素早く構築することが得意な開発手法です。
素早い開発ができるのは、システム工程をイテレーションという小さなチームに分けているから。イテレーションの中で設計、開発、テスト、リリースを繰り返すため、各リリース後の変更にも対応できます。
アジャイル型開発はさらに複数の手法に分けられます。代表的な手法は下記の3つ。
・スクラム
・エクストリーム・プログラミング(XP)
・ユーザー機能駆動開発(FDD)
スクラムは、チームの力が必要になる手法です。8〜10人程度の少人数で役割分担をし、毎日の情報共有を経て開発を進めます。1回のイテレーションのうち、開発期間は1〜4週間。並行で複数のイテレーションが進むため、短期間で開発を進めたい場合に利用されます。
エクストリーム・プログラミング(XP)はスクラムよりもさらに短い周期で開発を進める手法。短期間で修正や改善ができ、仕様変更に対応しやすく柔軟な開発を進めたい場合に向いています。
ユーザー機能駆動開発(FDD)はアジャイル型の中でも、大型のシステム開発に向いている手法です。システムの機能ごとにチームを組み、1〜2日で開発からリリースまでの作業を繰り返します。各機能ごとのフィードバックを行いながら開発を進められ、ユーザーの優先する機能への対応がしやすいのが特徴です。
アジャイル型開発のメリット、デメリット
アジャイル型開発のメリットとデメリットは以下のとおり。
メリットデメリット・仕様変更に対応できる ・短期間で開発できる・工数管理が把握できない ・コストが増える可能性がある
アジャイル型開発は短期間で開発や仕様変更にも対応でき、開始時点で変更が想定されるプロジェクトに向いています。一方で工数や計画を細かく決めない状態で開発に進むため、工数の把握が難しく、進捗によってはコストが増える可能性があります。
アジャイル型開発に向いているサービスは「Webサービス」
アジャイル型開発はWebサイトやECサイトなど、Webサービスの開発に向いています。なぜなら、Webサービスはリリース後にユーザーの反応を見つつ仕様変更することが多いため。アジャイル型開発を活用して、短期間でサービスをリリースし、順次内容を改善していきましょう。
試しながら開発を進める|プロトタイピング型開発
プロトタイピング型開発はウォーターフォール型開発を改良した開発手法です。プロトタイプ(Prototype)は英語で「試作品、模型」。本格的にシステムを組み込む前に、試作品を作成します。発注者がシステムの具体的な案が浮かんでいない段階でも事前にプロトタイプを作れるため、プロトタイプから具体案を確定して本格的な開発を進められる点が魅力です。
プロトタイピング型開発のメリット、デメリット
プロトタイピング型開発のメリットとデメリットは以下のとおり。
メリット
試作品から必要な機能を追加できる
デメリット
不具合の早期発見ができる
プロトタイプの費用が高い
開発までの期間が長い
プロトタイプを作ってから必要な機能を検討できるため、不具合の早期発見や開発前に必要な機能を追加できるメリットがあります。デメリットとしては試作品にお金がかかる点。試作品を先に作る分、納期が長くなる可能性もあります。
プロトタイピング型開発に向いているサービスは「新事業」
新規事業や新しいアプリケーションなど、前例のないシステムの開発にはプロトタイピング型が向いているでしょう。事前知識がないため、開発者は試作品を作る中でシステムの仕組みを理解でき、発注者は試作品を見てから必要な機能について検討できます。プロトタイピング型を活用して開発されたサービスの例は、日本語文章推敲支援ツール「推敲」です。「推敲」では4回のプロトタイプを経て長文の処理が可能になり、現在は一部が公開されています。
設計とテストを繰り返す|スパイラル型開発
スパイラル(Spiral)は英語で「螺旋」を表します。スパイラル型開発はアジャイル型開発と同じくシステムの工程を複数に分割し、螺旋状のように開発を深める方法です。
スパイラル型開発では要件定義をしたあと設計、開発、テストを経て発注者に提出し、評価しながら徐々にシステムを完成させます。アジャイル型開発と違うのは、繰り返す作業内容に「リリース」が含まれない点。リリース前に改善を重ね、システムの精度を高められます。
スパイラル型開発のメリット、デメリット
スパイラル型開発のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
システムの質の向上
発注者の意見を反映できる
デメリット
納期が超過する可能性
スケジュールの把握が困難
スパイラル型開発はシステム開発の過程を発注者と共有しながら進めるため、開発が進むごとにシステムの質が向上します。一方で発注者の評価によって修正作業が発生する場合は、納期が延びることも。全体のスケジュールの把握しにくいため、ウォーターフォール型開発のように作業スケジュールをある程度決めておくことが大切です
スパイラル型開発に向いているサービスは「大規模なプロジェクト」
企業に導入する大規模な業務システムの開発など、システムの質を求める場合はスパイラル型開発が向いているでしょう。規模が大きいシステム開発は、途中のフィードバックを怠れば大きな修正に繋がる危険性があります。スパイラル型開発では発注者からのフィードバックによって、作業の修正や認識違いを最小限に抑えられます。
開発と運用が協力する|DevOps(デブオプス)
DevOpsは「Development(開発)」と「Operations(運用)」を組み合わせた言葉です。開発チームはシステムの質の向上を求め、運用チームはリリース後の想定をしつつフィードバックを提案できます。DevOpsは開発中にさまざまな開発ツールを利用します。例えば、仮想化ツールでシステムの動作をテストし、監視ツールでサーバーを管理するなど、ツールを複数活用することで人的エラーを削減し、システム開発がスムーズに進められます。
DevOpsのメリット、デメリット
DevOpsのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
ツールを活用した作業の効率化
デメリット
人的エラーの削減・大規模なテストが実施できない
全体のスケジュールが把握できない
DevOpsは開発と運用を併用するためにツールを活用します。ツールを活用すれば作業の効率が上がり、人的エラーが減らせるメリットが。ただ、運用と開発が同時並行で進むため、全体のスケジュールを把握しづらいというデメリットもあります。
DevOpsに向いているサービスは「アプリケーション」
アプリケーションなど、リリース後に利用者のフィードバックを受けつつ改善するシステムを開発する際は、DevOpsを活用すると良いでしょう。
例えば佐賀大学理工学部知能情報システム学科では、DevOpsを活用して「ALECSS」というソフトウェア開発技術者の教育支援システムを開発しています。ALECSSを使えば、学生が提出したコード自動的にチェックし、フィードバックを返すことができます。
近年のシステム開発手法のトレンドを徹底比較
近年のシステム開発のトレンドは下記の3つです。
・アジャイル型開発
・DevOps
・DevSecOps
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウォーターフォール型開発からアジャイル型開発へ
近年では、ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発の利用率が国によって分かれます。例えばアメリカのIT系企業であるGartnerの発表した調査によると、2019年時点のシステム開発で活用する手法の利用率として、アジャイル型開発47%、ウォーターフォール型開発41%という結果が。一方で日本のウォーターフォール型開発の人気は高く、「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」によると、システム開発の97.4%がウォーターフォール型開発を利用しています。

引用:[4.5 開発の進め方|ソフトウェア開発データ白書2018-2019]
アメリカでアジャイル型開発が普及したように、今後日本でもアジャイル型開発が普及するかもしれません。
DevOpsが日本のウォーターフォール型の人気を追い上げる
日本ではウォーターフォール型開発の利用率が高いですが、近年はDevOpsの利用率も向上しています。「2022年 国内DevOps/開発プラットフォーム ユーザー動向調査」によれば、2017年から実施しているDevOpsの利用率は年々上昇し、2022年は59.3%の利用率を達成。導入を検討している企業は21.7%で、今後も利用率が高まる兆しです。
DevOpsに保守機能が加わったDevSecOpsが新たに登場
DevOpsの利用率が増加した現在の問題点は、オープンソースウェア(OSS)の脆弱性を狙ったサイバー攻撃への対策です。対策として、DevSecOpsというDevOpsに保守機能(Security)を追加した手法が登場しました。
今後OSSへのDevOpsを利用して開発したシステムが増えれば、DevSecOpsの必要性も高まるでしょう。
まとめ
本記事では、システム開発の手法の概要や主要な手法を5種類、さらに近年のシステム開発のトレンドについて紹介しました。
日本でのシステム開発の主流はウォーターフォール型であるのに対して、アメリカはアジャイル型の利用率が高いこと分かりました。開発するシステムによって、向いている手法が異なり、目的に合わせた手法を活用することが大切です。
本記事を読んでシステム開発の手法に関する知識を深めてみてください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!