「完成したのに、出せない。」
開発未経験から始まった
別居婚サービス「solo婚」
誕生までの1年
合同会社トライエース
2026.09.17

合同会社トライエース
代表取締役
鈴木 章斗様
「結婚はしたい。でも、一緒に住むことには抵抗がある」
そんな声をきっかけに生まれた、別居婚・週末婚に特化したマッチングサービス「solo婚」。
発案した鈴木氏は、普段は不動産会社に勤める会社員。アプリやWebサービスを開発した経験は、それまで一度もなかった。
2025年9月に開発会社を探し始め、同月末にシースリーレーヴと面談。約4ヶ月で初期版を完成させた。
しかし、その後に待っていたのは、アプリストアの審査落ちだった。Webサービスへ切り替えると、今度は決済会社の審査に通らない。
4社に断られ、それでも方法を探し続けた。
そして2026年9月1日、solo婚は正式にリリースされた。
一人の会社員のアイデアは、どのようにサービスになったのか。solo婚が生まれるまでの約1年を振り返る。
※本インタビューは正式リリース前に実施し、2026年9月1日のリリース後に編集しています。
PROJECT DATA
サービス:別居婚・週末婚に特化したマッチングサービス「solo婚」
開発会社探し開始:2025年9月
シースリーレーヴとの初回面談:2025年9月末ごろ
初期版開発:約4ヶ月
ユーザーアンケート:2026年3月
正式リリース:2026年9月1日
開発形態:レベニューシェアを含む共同事業型
幼馴染の「一緒に住みたくない」から始まった
solo婚のきっかけは、鈴木氏が幼馴染たちと飲んでいたときの会話だった。
当時41歳。同世代には独身の友人も多い。結婚の話になると、何人かから似たような声が出てきた。
「一緒に住むのが、やっぱりちょっと嫌だな」
大学卒業後、20年近く一人暮らしを続け、仕事も生活も自分なりのリズムができている。
結婚したくないわけではない。パートナーも欲しい。
ただ、結婚したら必ず同じ家で暮らすという形には、抵抗がある。
鈴木氏自身も、その話に納得する部分があったという。
「『あ、確かにそういうのもいいよね』と思って。適度な距離感を保ちつつ近所に住むみたいな。そういうアプリがあったら面白いなと思って調べたらなくて。『じゃあ作ろう』となったのがきっかけです」
当時、鈴木氏が調べた範囲では、別居婚を望む人に特化したサービスを見つけることができなかった。
そこで考えたのが、「別居婚でも構わない人」ではなく、最初から「別居婚を望んでいる人」同士が出会える場所だった。
「少数派で全然いいんですけど、マイノリティの人たちを上手くマッチングできたら面白いなと思って始めました」
大手のマッチングサービスと同じ規模を目指す必要はない。
solo婚が目指したのは、「こういうサービスを探していた」という人が集まれる場所だった。

「本当に市場はあるのか」開発と並行して確かめたニーズ
アイデアだけで走り続けたわけではない。
開発を進める一方で、鈴木氏は「本当に別居婚を望む人がいるのか」を確かめようとした。
2026年3月、30~40代の独身男女200人を対象にアンケートを実施。
鈴木氏によると、「結婚後の同居生活に不安がある」と答えた人は約60%。
「別居婚という選択肢もあり」と答えた人は約65%だった。
身近な友人との会話から始まった仮説に、一定の手応えを感じたという。
「市場ありそうだなと背中を押してくれました」
インタビューでは、SNSなどでも別居婚という暮らし方を目にする機会が増えたと話している。
平日はそれぞれ仕事をし、休日に会う。近くに住みながら、生活拠点は分ける。
結婚のあり方を一つに決めなくてもいいのではないか。solo婚には、そんな考えが込められている。
開発経験ゼロ。「誰かに先を越される方が嫌だった」
鈴木氏には、アプリを作った経験がなかった。
本人の言葉では、
「全然、まったくの初心者です」
という状態からのスタートだった。
それでも2025年9月、「アプリ 制作マッチング」などで検索し、3社ほどの開発会社に問い合わせた。
不安がなかったわけではない。
「『本当に大丈夫なのかな』『成功するかな』という不安はあります。でも、やってみないと分からないので。一度きりの人生ですし、他の誰かに先を越される方が嫌だなと」
開発会社を選ぶ際、鈴木氏が気にしていたのは、費用や技術だけではなかった。
まだ世に出ていないアイデアを話すことへの不安があったため、「この人たちになら話せる」と思えるかどうかも大きかった。
シースリーレーヴとは、2025年9月末ごろに初めて対面で話をした。
「僕が一番懸念していたのは、今回のアイデアはすごくいいと思っていたので、アイデアをパクられることだったんです。対面で会って『一緒にやりましょう』という信頼関係を築けるところが良かった」
サービスそのものに共感してもらえたことも、依頼を決めた理由の一つだったという。

「作った後も分からない」。共同事業として始まった開発
鈴木氏が分からなかったのは、開発だけではない。
完成した後の運用も、広告も、マーケティングも経験がなかった。
そこで選んだのが、通常の受託開発だけではなく、レベニューシェアを含む共同事業型の進め方だった。
「僕も作った後とか、運用とか広告とかも全然分からないので、全部一緒にやっていただけるというプランの方がありがたかった」
初期費用を抑える代わりに、サービスが成長した場合は利益を分け合う。
鈴木氏は、この形について、
「市場が全然ありませんでしたということであれば痛みも分け合って、うまくいったら利益も分け合うみたいなところが、新規事業としてはとっつきやすかったです」
と振り返る。
開発では、言葉だけで仕様を固めるのではなく、先に画面のモックを作り、実際に見ながら必要な項目を決めていった。
solo婚が想定している中心ユーザーは30~50代。
そのため、多くの機能を入れるよりも、シンプルで迷いにくい画面を重視した。
「目がチカチカしない、シンプルな見やすい画面、複雑じゃない画面、というところに一番こだわりました。言葉だけではイメージが湧かないので、まず画面のモックを作って『どんな項目が必要か・不要か』を細かく詰めました」
こうして、初回面談から約4ヶ月で初期版が完成した。

「完成したのに、出せない」
初期版が完成すれば、そのまま公開できる。
そうはいかなかった。
solo婚をApp Store、Google Playに申請したものの、マッチング・出会い系サービスのカテゴリーとして扱われ、審査を通過できなかった。
「落ちた時は、自分も焦りました」
そこで、スマートフォンアプリとしての公開にこだわらず、Webサービスへ切り替えることになった。
ところが、Web化すると今度は別の問題が出てきた。
決済だ。
Webサービスでは別途決済サービスを利用する必要があるが、マッチング・デーティング領域ということもあり審査は厳しかった。
1社目が通らない。
別の会社へ申し込む。
そこも通らない。
最終的には、4社から断られた。
初期版はすでに完成している。
それでも、ユーザーが使える状態にできない。
solo婚の開発で最も時間がかかったのは、作ることそのものよりも、その後だった。
目的を変えず、手段を変えた
ストア審査に通らなければ、Webへ。
決済が通らなければ、別の方法を探す。
最終的に利用できる決済手段を確保し、solo婚はリリースへ進んだ。
アプリからWebへ変わったことについて、鈴木氏はこう話している。
「全然Webアプリでも、本当に使いたいっていう人の心に届けば、別にいいかなと」
当初考えていた形とは変わった。
それでも、「別居婚を望む人同士が出会える場所を作る」という目的は変わらなかった。
solo婚は機能を必要以上に増やさず、月額3,000円前後のシンプルなサービスとしてスタートした。
鈴木氏が最初に目指しているユーザー数は、100万人ではなく全国1万人だ。
インタビュー時、まだ正式公開前だった鈴木氏は、世の中の反応を楽しみにしながらも、
「全然何もリアクションがなかったというのが一番怖いです(笑)」
と本音をこぼした。
その一方で、サービスへの手応えについては、
「いけると思います。100%いけると思っています。あとはどう広告をやるかなど、今後やっていきます」
と話していた。
そして2026年9月1日、solo婚は正式にリリースされた。

「受注者と依頼者という感じではなかった」
2025年9月に開発会社を探し始めてから、約1年。
初期版の完成、アプリストアの審査落ち、Webへの転換、決済会社4社の審査NG。
予定通りに進まない場面も多かった。
プロジェクトを振り返り、シースリーレーヴと進めて良かった点を尋ねると、鈴木氏は技術や機能ではなく、関係性について話した。
「同じ目標を見て、同じ目線で、同じ方向を向いて共にやっていけたところですね。受注者、依頼者とか、そういう感じではなく、一緒にタッグを組んでという感じが良かったです」
solo婚は、2026年9月1日にスタートしたばかりだ。
まずは全国1万人。
その先には、全都道府県、そして海外への展開も目標としている。
幼馴染との「一緒に住みたくない」という何気ない会話から始まったアイデアは、約1年をかけて、一つのサービスになった。
solo婚の挑戦は、ここから始まる。

インタビュー実施日:2026年8月19日
インタビュアー:小澤 彩
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